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最高裁判所第一小法廷 昭和51年(行ナ)14号 判決

神戸市北区有野町有野二一三三番地

(送達場所 神戸市兵庫区上沢通一ノ三ノ三)

再審原告

樫本定雄

神戸市兵庫区水木通二丁目五

再審被告

兵庫税務署長

勝又庄市

右当事者間の昭和五〇年(行ツ)第九三号課税処分取消請求上告事件について、当裁判所が昭和五一年五月六日言い渡した判決に対し、再審原告から再審の申立があつた。よつて、当裁判所は、次のとおり判決する。

主文

本件再審の訴を却下する。

再審費用は再審原告の負担とする。

理由

本件再審訴状記載の主張事実は、法定の再審事由に該当するものとは認められない。それ故、本件再審の訴は、不適法として却下を免れない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四二三条、四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岸上康夫 裁判官 下田武三 裁判官 岸盛一 裁判官 団藤重光)

再審の訴状

神戸市北区有野町有野二一三三番地

書類送達先 神戸市兵庫区上沢通一ノ三ノ三

再審原告 本訴原告被控訴人

樫本定雄

神戸市兵庫区水木通二丁目

再審被告 本訴被告控訴人

兵庫税務署長

勝又庄市

右当事者間の貴庁昭和五〇年(行ツ)第九三号課税処分取消請求事件につき昭和五一年五月六日言渡された左記の確定判決に対して再審の訴を提起致します。。

原判決の主文

原判決を破棄する。

被上告人の控訴を棄却する。

控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする。

再審の訴の趣旨

一、原判決はこれを取消す。。

一、再審被告の請求は之を棄却する

一、訴訟費用は全部再審被告の負担とする

との御判決相成度し

不服の理由

一、前記判決は貴庁において昭和五一年五月六日言渡された昭和五一年五月十一日再審原告に送達され確定した。

二、而して〈1〉再審原告被上告人の昭和四四年分から同四六年分までの所得税に関する各更正処分及各過少申告加算税の賦課処分に対する異議申立につき上告人は昭和四八年四月二十八日付で右申立を棄却する旨の各決定(以下「本件異議申立棄却決定」と言う)をして五月八日被上告人に通知したので被上告人は更に同月二五日大阪国税不服審判所長に対し審査請求をしたところ同所長は同四九年四月二四日付で右請求を棄却する旨の裁決(以下「審査請求棄却裁決」という)をして同年五月十七日被上告人は通知しそこで被上告人は同年六月三日本件異議申立棄却決定の取消を求めて本訴を提起した、然る処大阪高等裁判所は適法な訴として神戸地方裁判所の第一審の判決を破棄し、神戸地方裁判所に差戻した処最高裁判所は右の通り原審判決を破棄し被上告人の控訴を棄却した然し行政事件特令法第五条には三号に但し正当なる事由により此期間内に訴を提起することができなかつたことを疎明した時は此限りではない即ち

a 昭和四八年四月二八日本件異議申立棄却決定書には兵庫税務所国税不服審所の住所まで書き本決定に不服あるときは審査を請求しなさいと紹介した、然して国税不服審判所日隈審判員の話しでは若し審判に不服あれば訴訟が裁判所に出来るとの事であつた。従つて同四九年四月二四日付で右請求を棄却する旨の裁決「以下「本件審請求棄却裁決」という」をして同年五月十七日付被上告人に通知したのは記録上明瞭であつて兵庫税務所の指示で一ヶ年を経過したのは被上告人の怠慢徒過ではなくして上告人の指示による国税不服審判所の遅延に基づくもので、若し兵庫税務所としては国税不服審判所に壱ヶ年以上を経過する時は徒過による時効となる其旨被上告人の権利を擁護する注意を被上告人になしおくべきである然らざれば故意に被上告人の訴訟権を侵害した事が明であるので許すべからざる事である。若し右兵庫税務署長の国税不服審判所への審査請求の指示がなければ裁判所へ訴えている。

b、 国税不服審判所に審査を請求してその審査は行政特令法の(昭和二三、七月法八一施行昭和二三、七、二五日附則)第二条に行政庁の違法なる処分に対し審査の請求を経た後でなければ即ち(裁決決定その他の処分を経た後でなければ訴を提起することができないので兵庫税務署の指示に従う審査の請求をなしその裁決に基づき訴を起したので兵庫税務署長が右国税不服審判所の審査請求する異議却下決定書に国税不服審判所に審査請求しなさい、記載なければ其時点で裁判所へ訴へているのである、従つて税務署に対する不服審判所への審査請求は六割まで審査請求の趣旨がとおつておるのが実情である旨の新聞記事があつたのと前記審判係吉田某慣習であるので之を無視することは許されない。本件審査請求棄却裁決があつてから訴訟が出来ると申していた立証あり

尚昭和四四年三月三日に壱千万円を樫本定雄領収書に基く所得は申請の記録にあるとおり右壱千万円は田井与一が同年三月三日再審原告が領収書を書き、田井与一が金を受領、被上告人に証明しながら(証明書提出記録にある)本件の訴訟に応訴しているのであるので本件の異議決定棄却決定は調査不充分である、従つて昭和四四年三月三日の領収証、被上告人の収入は時効により取り立の権利は税務署にはないのである。

行政事件訴訟特令法第二条には行政庁の違法な処分の取消又は変更を求める訴はその処分に対し法令の規定による訴願は審査請求異議の申立その他行政庁に不服の申立を経由して訴を提起する事ができる。第五条には処分あつた日から六ヶ月以内にしなければならぬが但し正当な事由により此期間内に訴を提起することができなかつたこと証明したときは此限りでない。即ち本件異議申棄却決定は昭和四八、四、六日被上告人に送達五月八日にも兵庫税務署の右書中には国税不服審判所に不服あれば申出を に同年五月二五日国税不服審判所に申出たところ、審査請求棄却裁決は昭和四九年四月二四日付で発せられ同年五月十七日送達され被上告人は同年六月五日右異議申立棄却決定に対し神戸地方裁判所に提訴したので記録上明瞭である。

C、尚第二審及び一審記録として提出せる兵庫税務署長の証明書では昭和四四年度同四五年度昭和四四年度の納税は完了証明があるが昭和四四年度のみは三ヶ年以前の納税証明証は発行出来ないとの事で宅建業免許申請に必要な納税証明書の交付を受けるには完納になつているのに本訴異議申立は完納が当然であるのに異議申立を棄吸したのは兵庫税務署長の独断専行であるので右行政特令法で救済を求むる外には再審原告は救はれないので右再審の請求をした次第である。

昭和五一年五月十三日

右樫本定雄

甲一号証

立証決定大阪国税不服審判所行政事件訴訟特令法第五条三号

甲二号証

神戸地方検察庁の壱千万円持ち逃げ者死亡による不起訴処分書

最高裁判所民事部御中

印紙

郵便切手 六組

再審訴状の追加理由

神戸市北区有野町二一三三番地

書類送達先 神戸市兵庫区上沢通一ノ三ノ三

再審原告(本訴原告) 被控訴人

樫本定雄

神戸市兵庫区水木通二丁目

再審被告(本訴被告控訴人)

兵庫税務署長

勝又庄市

再審理由補従の書面

(一)、判決理由審四枚同十三行に「ひつきよう行訴法一四条四項国税通則法七五条七六条の解釈を誤まつたと言ふべきであるとしているが

〈a〉 疏明甲一号証のとおり行政事件訴訟特令法第五条第三項により疏明を出してなかつたので右条項を援用したのであるから右疏明を提出し原告の徒過怠慢でないことを証明して再審の判決を求めます。

b 所得をしたのは領収証を再審原告が書きその場で壱千万円を被告訴人田井与一が受取つて所有権移転登記をして月三分の利子を田井が取得しながら再審原告の不動産を売却し逃亡したのを告訴していたのである田井与一が時効寸前の昭和五〇年六月に死亡して不起訴となつて八十一歳の再審原告は困つているので税務署員も右捜査に協力して呉れていたのである。

(弐)、(一)の理由は論旨は解釈適用を誤まつたと論断し被上告人が昭和四八年四月二八日付の本件異議申立棄却決定の通知を受けたのは同年五月八日であり本訴を提起したのは昭和四九年六月三日で三七日間徒過した事が明瞭であるから其点からは当然の判決であるが右行政事件訴訟特令法第五条第三号の大阪国税不服審判所長の証明(疏明)と日隈審判官吉田審判員とも口を揃へて審判書到着後裁判所に訴へて訴訟出来ると言ふ証言は慣習として認められるとの事で証人として右両人の証人を申請する。

昭和五一年五月三十一日

右樫本定雄

最高裁判所 御中

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